チェックインし、速攻で部屋に行く。
そういえば、やっぱり記載されている「駅から徒歩○分」というのは
信じてはいけないのだと思った。
最近こんな事がなかったので忘れていたが
ここのホテルも記載されている時間より確実にもっとかかると思う。
その旨をこちらに向かっているであろうちかりんに話そうと電話を
してみたのあるが、まだ電話に出ないので
服が濡れないよう半裸になり顔を洗い始めた。

そういえば、ミュージアムの後からのアワリ具合で汗だくであった。
こんな事なら何でもいい服を着てきて着替えればよかった。
もう服はこれで行こうという物を着てきてしまっていた。

クレンジングをしていると電話が鳴った。
Tかりんからで今勝どきの駅に着いたという事だった。
タクシーに乗った方がいい事と部屋番号を伝え電話を切った。
ちかりんもかなり焦っているようだ。
今頃はメイクも終わり、ゆっくりと一服している予定だったのだから。

顔を洗い終わり、整肌をしているとTかりんがやってきた。
息を切らせている。
Tかりんは新宿に去年だったかのエキストラをした時の
ギャラを貰いに行っていたのだ。その後少し買物をしたら
かなり時間を喰ってしまったらしい。
Tかりんも半裸になり顔を洗って、メイクに取り掛かった。

しかしメイクをしながらも私達2人の話題は
「パスに何て書く?」だった。
18日に屋形船のしおりとパスが届き、この日を思って狂喜乱舞したが
私の頭を悩ませたのはパスにあった縦1cm弱横4cm程の空欄だった。
しおりには
「ボーディングパス・空白の謎」
 ここにはHNやあだ名などの「みんなに呼んでもらいたい名称」を
 書き込むのが正しい。
 なので、もし「世田谷区在住」とか「大根3本」とか書いて
 しまうと当日そう呼ばれるので注意しよう。
と、書かれていた。
私はその日からその事ばかり考えていた。
HNどおり「Hたれ」では能がないし、
実際「Hたれ」と呼ばれるのは恥ずかしいし。
いつも間違いが多くその訂正などを書き込んでいる私である。
昨日は「ハードM」(「私が」という意味ではナイ)
発言を書きこんでしまったし、
益々「Hたれ」と書くのが恥ずかしい状況に
自分を追い込んでしまったのだ。
かと言って私の頭では面白い事など浮かぶはずもなく
今日まで空白にし、勢いで書こうとサインペンを持って
ここまで来てしまったのだった。

髪もセットし終え、服も着た後、2人で悩んだ末
Tかりんはそのまま「Tかりん」。
私はアルファベットで「hetare」にした。
hはあまりの緊張にnの部分がくっついてしまい
読み取れないという有様だったが修正ペンは用意していないし、
もう5:30を回っていたために急いで部屋を出たのだった。

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